かんのん劇場支配人 見城 宗忠
 「一流の技を身近で楽しもう」とはじめた〈かんのん劇場〉が、昨秋15回目を終えました。この間ベテラン俳優によるひとり芝居や新進の津軽三味線奏者、更には沖縄民謡の大家や日本におけるアラブ音楽の第一人者といった、様々なジャンルの方々に出演していただきました。中でも昨春ベルリン・フィルと共演した実績を持つ世界的な二胡奏者・許可(シュイ・クゥ)氏にはたびたび出演していただいております。

 もとより「文化活動を通じて地域に貢献する」などと大げさなことを考えたわけではありません。自分が実際に観て聴いてよかったと思うものをみんなで楽しもうよ、といった軽いノリで始めたことです。現代ではDVDやCATVあるいはインターネットなどによって、茶の間にいながら様々な舞台を楽しむことはできます。しかし生身の人間が目の前で演ずる迫力は何にもまさるパワーを持っています。そのパワーを普段なかなか劇場に足を運べない地元の方々に感じ取っていただきたい、そんな思いです。

 おかげさまで出演者には当劇場のこのような趣旨をご理解いただき、些少の御礼にもかかわらず気持ちよく参加してもらっています。それでも広く一般にPRしているわけではないので、毎回100席のチケットの売れ行きが気になって、ヒヤヒヤしながら開幕を迎えているのが実情です。しかしお客さんの「からだが震えるほど感動した!」とか「70年生きてきてこんな世界があることを始めて知った」などといった声をいただくと、やはりやめられないなぁと思います。

 公演の翌日、演奏やお客さんの笑顔を思い返して前夜の余韻を楽しみながら一人で片付けをし、いつも通りの本堂に戻った時に思うのです。この世に一時招かれて、人生という一場の劇を演じて、また元に還る、これこそ色即是空 空即是色だ、と。
                       【2009年6月記】



《かんのん劇場のあゆみ》

 ・第1回 1999年10月 古屋和子・琵琶弾き語り『越前竹人形』
 ・第2回 2000年11月 孟仲芳・中国琵琶演奏会
 ・第3回 2001年11月 古屋和子・関一郎(尺八) 『山月記』『新釈雨月物語』
 ・第4回 2002年11月 魂の津軽三味線〜踊正太郎の世界〜
 ・第5回 2003年06月 妙響東漸 〜許可による二胡の世界〜
 ・第6回 2003年10月 古屋和子・和田 啓(パーカッション)『夜叉ヶ池』
 ・第7回 2003年12月 チェロと二胡のデュオ・コンサート
 ・第8回 2004年10月 佐々木梅治・芝居読み語り『父と暮らせば』
 ・第9回 2005年05月 妙響東漸 PARTU
 ・第10回 2005年12月 E・アーロン『バッハ・無伴奏チェロ組曲集』
 ・第11回 2006年10月 RabiSari『アラブ音楽の夕べ』
 ・第12回 2007年07月 島唄の至宝・大城美沙子 芸能活動50周年記念ライブ
 ・第13回 2007年10月 鈴木理恵子『音の墨絵〜無伴奏ヴァイオリンの世界』
 ・第14回 2008年07月 〜美しき二胡の響き〜
許可と王文礼による驚異のパフォーマンス
 ・第15回 2008年10月 〜アンダルシアの光と影〜
スパニッシュ・コネクション ライブ inTheatroKanon
 ・第16回 2009年11月14日 古屋和子よみ語り
浅田次郎作『天切り松闇がたり』より〜衣紋坂から〜
 ・第17回 2010年11月13日 モンデンモモ《智恵子抄》ほんとの空コンサート
with田嶌道生(ギター)
 ・第18回 2011年11月12日 ルシア塩満とその仲間たちによる
アルパ・アコースティック・コンサート

※PDFポスターでのご案内はこちらをご覧下さい。
⇒(表面裏面

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